黒服から支配人へ:リーダーシップの本質

はじめに
「黒服」と聞くと、多くの人は裏方の仕事をイメージするかもしれません。ホステスを支え、お客様に気を配り、トラブルがあれば迅速に処理する——まさに縁の下の力持ちです。

私はその黒服からキャリアをスタートさせ、現在はクラブの支配人として店舗運営や採用、教育、売上管理を担っています。昼間は飲食店の宣伝企画に携わり、夜は社交の場であるクラブを切り盛りする。こうした二重のフィールドで働くなかで、私が最も深く学んだのは「リーダーシップ」でした。

この記事では、黒服時代から支配人へと歩んだ過程を振り返りながら、夜の世界で身につけたリーダーシップの本質をお伝えします。

黒服として学んだ「観察力」

黒服の第一の役割は「現場の潤滑油」です。目立たない立場ではありますが、実は店の空気を左右する重要なポジションでもあります。

例えば、お客様のグラスの減り具合や表情の変化にいち早く気づけるかどうか。ホステスの体調や気分を察してフォローに回れるかどうか。ほんの小さな違和感を見逃さず先回りして動ける黒服は、店全体の評価を押し上げます。

  • 会話のスピードや声のトーン
  • 目線の動きや姿勢の変化
  • ちょっとした沈黙の長さ

こうした“言葉にならないサイン”を読み取ることで、場を乱さずスムーズに流れをつくることができました。リーダーシップの出発点は、この「観察力」にあると感じています。

支配人として求められる「決断力」

黒服が「気づき」と「行動」で場を整える存在だとすれば、支配人は「決断」で方向性を示す存在です。

支配人になると、責任の重さが一気に増します。誰を採用するか、どのように教育するか、売上の方針をどう定めるか、そしてトラブルが起きた際に誰を守り、どこで折り合いをつけるか。

ときに選択肢はいずれも正解とは言えません。だからこそ大切なのは「決断を後回しにしない」こと。優柔不断は現場を混乱させ、信頼を失う原因になります。

人を動かす「信頼の構築」

夜職において、人を動かすのはお金や上下関係だけではありません。むしろそれ以上に重要なのは「信頼」です。

そのために心がけているのは、

  • 約束を必ず守る
  • 公平に接する(えこひいきをしない)
  • 感謝をその場で伝える

信頼は一朝一夕で築けません。日々の小さな積み重ねが人を動かす大きな力になります。そして一度失った信頼は取り戻すのが難しい——この緊張感を忘れないことが、私の行動指針です。

夜の世界だからこそ鍛えられた「柔軟さ」

昼間のビジネスと違い、夜の現場は常に予測不可能です。急な欠勤、想定外のトラブル、気分次第で変わるお客様の態度。マニュアルだけでは到底対応できません。

そんなときに必要なのは「柔軟さ」です。状況を受け止め、流れを修正して最善を探る。ときにユーモアで場を和ませ、ときに冷静さで緊張を抑える。その瞬間瞬間で「場を整える力」が問われます。

おわりに

黒服から支配人へと至る道のりで学んだのは、リーダーシップとは「肩書き」ではなく「姿勢」だということです。

観察力、決断力、信頼、柔軟さ——これらを実践することで、夜の世界でも昼のビジネスでも通用するリーダー像を形づくれると実感しています。

夜職に興味を持つ方にとって、この世界は厳しさも多い一方で、他では得られない学びと成長があります。私の経験が、これから挑戦する誰かの背中を押すきっかけになれば幸いです。